先週から 回路や試作基板の設計ツールとしてKiCADを導入しています。 実は以前 のKiCAD Ver4の時に検討したのですが、あまりの使い勝手の悪さで、放置したことがありました。しかし取引先からのVer5が意外と良いという評判と相対的にAutodeskに買収されて自由度を失ったEagleの補完という位置づけで今後はKiCADによる基板試作を行うことになります。これからしばらくはKiCADによる基板制作までの作業について投稿していきます。
このシリーズでは、Eagleの資産の継承も含めて、KiCADのインポート機能を使いEagleライブラリを変換しつつ、躓いた事とその解決方法など自分用メモとして記録していきます。
とりあえず使用してみて感じたことは、UIやショートカットに慣れればそれなりに使える(といってもまだ使い込んでいないのであくまでも個人的な感想)事が判りました。
ただし、単に慣れていないだけかもしれませんが、部品がストレスなく選択できなかったりまだまだEagleの使いよさには届かない部分を感じることが執筆時の現行バージョン5.1.9にはあります。 この辺りは使用者の感じ方で評価が分かれるかもしれません。
さて、EagleとKiCADの大きな違いはライブラリ管理です。
大まかな電子部品はライブラリに登録されていますが、基板設計を行う場合は、ユーザー定義ライブラリの作成は、ほぼ必須ですが、この管理概念というか思想が異なります。
Eagleの場合は、シンボルとフットプリントを作成した後、
部品の多様性に対応するためにデバイスという概念でパッケージとパッドを関連付けます。
例えばICなど同じシンボルで同じ機能を持ってもパッケージがDIP ,SOP,QFPなど多様性がありピン割り付けも異なる場合がありますが、Eagleはこれをデバイスという概念で一つのオブジェクト(この辺はソフトウェアのオブジェクト指向に概念が近い)にまとめられています。
したがって最初にシンボル、パッケージ、パッド(フットプリント)の整合性のとれたデバイスが必要ですし、回路図を描く際に実装タイプ(表面実装かスルーホール)と部品外形を考慮してデバイスを選び描く必要があります。
これに対してKiCADはライブラリにシンボルさえあればとりあえず回路図は引けます。そして回路図完成後にパッケージとパッドの整合の取れたライブラリを関連付けることになります。
一見回路図が最初に描けるのはメリットに見えるかもしれませんが、シンボルのピンアサイン名(番号)とパッド(フットプリント)の番号を完全に一致させなければいけません。
これは ピンアサイン名を自由に変更できないという制約につながります。またライブラリ管理が煩雑です。
また 回路図作成時にどのような部品を載せるのか 例えば表面実装品、ラジアル部品、サイズ、抵抗のW数、ケミコンのサイズなどは必ず意識はするはずですので回路図だけ先に描けることが必ずしもメリットにはなりません。
このように一長一短はあるもののこのあたりが大きな思想の違いに感じました。
ただ KiCADはCERN(欧州素粒子原子核研究機構)が開発に参加しているため今後の機能改善とメンテナンスが期待できます。
ところで
CADの使い勝手以前に
この基板サイズにこの部品..実装できるのか?
うーん... 基板面積 足りてる? 足りているような 足りていないような..
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